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2023.09.15

未経験でも研修制度があるから安心。新たな販路開拓に挑む未来のりんご農家を急募

後継ぎ募集

「浜辺の歌」の作者が生まれた、住宅地の中のリンゴ農園

(画像提供:秋田県公式観光サイト)

“あした浜辺をさまよえば” 

この歌いだしで始まるのは、抒情歌「浜辺の歌」。この作曲者のふるさと、秋田県北秋田市米内沢(よないざわ)は、アユ釣りが盛んな阿仁川が流れ、国道からは、花の百名山として知られる森吉山を仰ぎ見ることができる、自然豊かなのびのびとした場所です。国道105号の大通から脇道にそれ、奥へ進むと、親子三代で営んできたりんご農園があります。

農園の広さはおよそ1ヘクタール

管理してきたのは工藤昌子(くどう・しょうこ)さん。米内沢からおよそ50キロ離れた秋田県三種町(みたねちょう)から、りんご農家に嫁いできました。もともとご実家は農家ではなかったと言いますが、旦那様とそのご家族で、3人の娘さんを育てながら、37年間りんご作りに励んできました。

りんごを色づかせるため、木の下に銀色のシートを敷いて、下からも日が当たるようにするという

りんご農園で年間に行う仕事は全て手作業。中でも最も難しいと言われる冬の剪定は、日当たりを良くするために混み合う枝を切り落とす重要な作業です。また、摘果(てきか)は、一つの親果実に栄養を行き渡らせるために未成熟の実を摘み取る作業で、こちらも欠かせません。こうした作業を丁寧におこない、ふじ、ジョナゴールド、王林、むつなど、多くの品種を育ててきました。

雪によって木が倒れないように支柱を立てることも大事な作業の一つ

そうして作られたりんごの主な販路は、「市日(いちび)」と呼ばれる北秋田市の名物朝市です。毎朝、北秋田市内のあちらこちらの地域に出かけては採れたてのりんごや梨を販売してきたそうです。昌子さんが嫁いできた頃の朝市では、果物から野菜、魚からお菓子まで何でも揃い、「昔はお正月の買い物もすべて市日で済ませることができ、お客さんで賑わっていました」と工藤さんは言います。

「もう切るしかない」一度は諦めたが後継者募集を決心

ここ数十年は夫婦二人三脚で続けてきましたが、今年1月に旦那様が他界してしまったことで、昌子さんひとりで農地を管理することは難しくなってしまいました。

「ずっとお父さんを中心にりんごを栽培してきたので、私ひとりで1ヘクタールの農園を管理するのは無理ですし、このまま木を残していても隣近所に迷惑だろうから、もう木を切るしかないと考えていたんです」

旦那様の他界後、1年弱手入れができなかったため、りんごの実と葉には栄養が行き届いていない状況のため早期の復活が必要だ

しかし、旦那様のご友人やご兄弟に、「あまりにもったいない。後継者を募集してみないか」と熱心に口説かれたそう。事業承継支援に取り組む北秋田市を通して就農者をサポートする支援制度があることを知り、それならばと後継者を募集することを決意したといいます。

農業の経験がない方が工藤農園を承継することになった場合でも、県の「秋田アグリフロンティア育成研修」と「秋田県スタンバイ農地事業」を活用することができます。(2023/11/22追記:第2次募集を開始しました。詳細は募集要項をご覧ください)

「秋田アグリフロンティア育成研修」とは、2年間、作物の栽培や経営を学ぶ研修です。秋田県内でりんごの一大産地である鹿角市と横手市にある果樹試験場で研修を受けることができます。秋田県や北秋田市によるインターンシップ制度もありますので、2泊3日から研修内容を現地で体験することも可能です。

座学学習で営農に必要な知識を身に付けることができる(画像提供:秋田県農業研修センター)

「秋田県スタンバイ農地事業」は、就農予定の農地が荒れないように、就農開始までの研修期間中は秋田県農業公社が農地を管理してくれるもの。草刈り等を行い、農地を適正に維持管理してもらうことができます。

「秋田アグリフロンティア育成研修」を利用すれば、りんごの防除や葉摘みなど、収穫までの一連の作業を習得でき、農業の基礎や農業経営に関する知識も学ぶことができます。また、技術習得後は、保全管理された農園ですぐに栽培を開始することができるので、農地を探したり、一から果樹を植え、収穫できるまで待つ必要はありません。

管理された農地を引き継ぎ、すぐに農業収入を得ることが期待できるので、初心者でも農業にチャレンジしやすい環境が整っています。

果樹試験場での研修の様子(画像提供:秋田県農業研修センター)

「秋田アグリフロンティア育成研修」への申込には期限がありますが、もしも応募が間に合わなかった場合は、まず北秋田市の先輩農家のもとで作業体験から始めることもできます。

アイディアを活かした売りかたを

これまでの工藤農園の主な販路は朝市でしたが、少子高齢化と人口流出により北秋田市での購入者は年々減少傾向にあるため、朝市以外の新しい販路開拓が必要です。

「インターネットでの販売や、りんごを加工したお土産や商品をつくったり、ほかの仕事と兼業する多角経営というやり方もあります。国や県の支援制度を活用し、新しいことにどんどんチャレンジしてほしいと思います」と、市の担当者も熱意を込めます。北秋田市では、新商品等開発支援事業を活用したチャレンジしやすい環境が整っています。

「大変なこともいろいろあるけど、一番楽しいのは収穫!そしてリンゴはふじがいちばん好き!」と頬を緩ます昌子さん

工藤農園の付近には藪がないことから熊の被害は少なく、車で5分以内の場所にコンビニやスーパーもあり、生活には不便がありません。また、夏ともなれば、米内沢地域にある「浜辺のうた音楽館」では竹灯りが行われ、音楽と共に幻想的な宵を楽しんだり、釣りやスキーなどのアウトドアも楽しめる自然豊かな環境です。

ここ北秋田市米内沢で、支援制度を大いに活用して、りんご農家を目指してみませんか。

北秋田市では、お試し移住の補助制度も設けていますので、現地の見学や体験も大歓迎です。

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